2016年御翼8月号その4

                                          

エルヴィスの薬物使用と離婚に関して

  

エルヴィスの薬物使用について、『エルヴィスの真実―ゴスペルを愛したプレスリー』の著者ジョー・モスケイオ氏は、「エルヴィスが不法な薬物を手にするのを見たことはなかった」と断言している。一方、妻プリシラとの結婚と離婚、女友達との付き合い方などについては、前田絢子『エルヴィス、最後のアメリカン・ヒーロー』(角川選書)から以下のようにまとめることができる。
 エルヴイスが妻に選んだ女性、プリシラは、エルヴィスが米陸軍に徴兵されてドイツの基地にいたときに出会った米空軍将校の娘(当時14歳)である。エルヴィスは帰国・除隊後、プリシラの両親を説得し、17歳になったプリシラを自分の父親の家に住まわせて、メンフィスのカトリック系の私立高校に通わせる。父ヴァーノンは、エルヴィスの母の死後ほどなく再婚していて、妻の子どもたち三人を引き取って、グレイスランド(エルヴィスの邸宅)近くに居を構えていた。プリシラは、厳格な修道女の校長の下で、南部の貴婦人となるよう教育された。エルヴィスは、プリシラを最も愛してはいたが、同時に彼女以外の多くの女性ともつき合っていた(それが必ずしも、性的な不道徳を意味してはいないようである)。エルヴィスは映画制作のために、プリシラを残してハリウッドに出かけ、長い時間、メンフィスを留守にした。エルヴィスを待ち続けるプリシラは、エルヴィスと共演女優との華やかなロマンスの噂に悶々とした。主として、映画宣伝用のつき合いではあったが、プリシラは、七年間も辛抱強く待ち続けた。一九六七年、ようやくパーカー大佐(マネージャー)の許しが出て、プリシラとエルヴィスは結婚式をあげる。しかし、結婚しても、プリシラの生活は、「エルヴィスを待つ毎日」という意味で、結婚前と変わらなかった。一九七二年二月、ついにプリシラは、娘を連れて、自分の空手教師だったマイク・ストーンとの新しい生活に踏み切り、翌七三年一〇月には、正式に離婚が成立した。
『エルヴィスの真実』の著者モスケイオ氏は、事実関係を述べるよりも、以下のように、霊的な目で記している。
 離婚が、関係者全員の心にさまざまなかたちで苦悩をもたらすことは、明らかな事実です。エルヴィスとプリシラが互いに真に愛し合っていたと私は確信していますが、愛しているというだけではどうにも立ち行かない時が訪れたのでした。二人のあいだに存在した苦難やストレスはいかばかりであったか、おそらく誰にも想像できなかったでしょう。エルヴィスにとっても、プリシラにとっても、何とも不運だったとしかいいようがありません。エルヴィスは心の傷から逃れるために、決して好ましいとは思えないことに依存し続けたのです。おそらく、エルヴィスは、幸せな家庭を築くという夢が絶たれてしまった現実を、受けとめることができなかったのだと思います。
 そして、まえがき(プロローグ)に著者は以下のように記す。
彼(エルヴィス)はよい決断をしましたが、悪い決断もしました。彼は、大勢の人々の人生に喜びをもたらしましたが、ある点においては完全とはいえませんでした。…一人の人生が周りに与える影響、感化をどのように測るべきでしょう。音楽の世界にエルヴィスが与えた影響はとてつもなく大きく、また今も広がり続けています。私たちは、エルヴィスがどのように人生を終えたかによってその影響力を測るべきでしょうか。それとも彼が歩んだ人生のすべてを通してでしょうか。私たち人間の心をすべて知り、正しく判断できるのは神だけです。
イエス様は、姦通の現場で捕まった女を石打ちの刑にしようとした律法学者らに、「罪を犯したことのない者

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